
転職で「年収を上げたい」は正しい。でも“戦略なし”では通用しない時代です
「今より年収を上げたい」「自分の市場価値を正しく評価してもらいたい」──そう考えて転職活動を始める人は多いです。
しかし、現実には転職後に年収が下がる人が3割以上というデータもあります(リクルート『転職者実態調査2024』より)。
WEB・児童福祉・建設の3業界で人事部長を務め、現在は企業向け採用支援サービスを提供している筆者の経験から言えば、
「年収アップ転職に成功する人」には明確な共通点があります。
それは──“自分の市場価値を理解し、正しく交渉できる人”です。
年収は「交渉次第」で変わる
転職の年収は、求人票の金額だけで決まるわけではありません。
実際、人事の現場では「提示額に上乗せできるかどうか」は候補者次第です。
たとえばWEB業界では、スキルポートフォリオや成果物で交渉する人が多く、
建設業界では資格手当・現場責任範囲で評価が変わります。
児童福祉業界でも、近年は“保育士+マネジメントスキル”のような複合スキル人材に高い報酬を提示する傾向があります。
つまり、同じ職種・同じ経験年数でも、交渉力と見せ方で50万〜100万円の差が生まれるのです。
年収アップ転職の成功率と実態
dodaの「転職成功者の年収データ(2024年版)」によると、
転職後に年収がアップした人は全体の約58.2%、
現状維持が約13.6%、
ダウンが約28.2%という結果が出ています。
(出典:doda「転職成功者の年収データ」)
一方で、年収アップを実現した人の多くが「複数社から内定を得た上で交渉した」と回答。
選択肢を持つことで交渉余地が広がるのは明らかです。
多くの人が「交渉=失礼」と思い込んでいる
面接で「御社の提示条件に従います」と言ってしまう人が多いですが、
これは“評価の機会を自ら手放す”行為です。
実際、人事担当者は「交渉してくる人」をネガティブには見ていません。
むしろ「自分の市場価値を理解している」「論理的に話せる人だ」と好印象を持つケースが多いのです。
私が建設会社の人事部長だった頃も、
若手ながら“施工管理+設計支援”を任されたいと明確に希望した候補者に対して、
予定より年収80万円上乗せして採用したことがあります。
「明確な根拠のある交渉」は、企業にとっても納得しやすいのです。
市場価値を高めて「交渉できる人」になる3ステップ
Step1. 自分の「職能価値」を数値化する
- 直近3年間の成果を“数字で”書き出す(売上・改善率・生産性向上など)
- 保有資格やリーダー経験など「再現性のある実績」を整理する
- 「他社でも再現できる力」を明確化することで、年収交渉の根拠を作る
例:「新規サイト立ち上げにより月間PVを2倍にした」「離職率20%→5%改善」など
Step2. 求人相場を「業界×職種×地域」で比較する
- 転職サイト(doda・マイナビ・OpenWorkなど)で3軸比較
- 「地域手当」「職種別中央値」「業界成長率」をチェック
- 特にWEB・建設ではプロジェクト単価=年収レンジが相場を動かす
💡豆知識:
厚生労働省『令和6年 賃金構造基本統計調査』では、
IT・通信業の平均年収は約550万円、建設業は約530万円、
社会福祉業は約410万円と報告されています。
(出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)
Step3. 面接での「交渉フレーズ」を準備する
たとえば以下のように伝えると効果的です:
「これまでの経験とスキルを活かし、御社で成果を出せる自信があります。
責任範囲を広げる形で、提示年収の上限でご検討いただくことは可能でしょうか?」
または、
「業界相場や担当範囲を踏まえ、○○万円前後を希望しております。」
ポイントは、“根拠+相場+自信”をセットで話すことです。
市場価値を上げる人は「常に学び、選ばれる側に回る」
年収アップを叶える人は、転職の瞬間だけでなく常にスキルを更新しています。
WEBならAIやマーケ自動化、建設ならDX・BIM、福祉ならチームマネジメント──
“変化を味方にできる人材”が、市場価値を伸ばしています。
結果、
- オファーが増える
- 条件交渉がしやすくなる
- 年収が持続的に上がる
という「好循環」が生まれます。
明日からできる3つのキャリア行動
- 自分の実績を“数字”で書き出す
→ どんな成果を出したかを3行でまとめてみよう。 - 求人相場を1時間だけリサーチする
→ doda・リクナビNEXT・ミイダスを活用して、自分の市場価値を見える化。 - 次の面接で1フレーズだけ交渉してみる
→ “言う勇気”が市場価値を引き上げる第一歩。
💬まずは1つでOK。動けば結果は変わります。
まとめ
転職での年収アップは“運”ではなく“設計”です。
そしてその設計には、自己理解×市場理解×交渉力が欠かせません。
転職は「勢い」ではなく「戦略」。
“自分の価値を伝える力”を磨けば、収入もキャリアも確実に上向きます。
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「転職してよかった」と思える道を、一緒に設計します


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