給与はどう決まる?元人事部長が明かす“評価テーブル”の真実と年収交渉のコツ

キャリア設計

「なぜ自分だけ昇給しないのか?」──その疑問には“給与テーブル”が関係している

「今年も昇給がなかった」「評価は悪くないのに給料が上がらない」
そんなモヤモヤを抱える社会人は少なくありません。

実はその背景には、“給与テーブル”という企業の報酬設計ルールが深く関わっています。

私はこれまでWEB・児童福祉・建設の3業界で人事部長を務め、現在は企業向け採用支援を行っています。
どの業界でも、給与テーブルを「知っている社員」と「知らない社員」では、
3年後の年収に100万円以上の差がつくことを何度も見てきました。

この記事では、人事しか知らない“給与テーブルの裏側”と、
それを味方にするための年収交渉術を解説します。


給与は「上司の評価」で決まると思われている

多くの社員は「上司が評価してくれれば給料が上がる」と考えがちです。
しかし、これは半分正解で、半分は誤解です。

実際の昇給額は、「評価 × テーブルランク × 会社業績」の3要素で決まります。
上司の評価が良くても、

  • テーブル上限に達している
  • 業績係数が低い
  • 評価ランクの分布が偏っている
    といった理由で昇給がゼロになるケースもあります。

つまり、努力だけでは給与は動かない構造になっているのです。


給与は「テーブル」という“設計図”で管理されている

企業には、職種・等級・評価ランクごとに給与幅を定めた給与テーブル(賃金レンジ表)があります。
以下は、実際の一般的な例です:

等級評価ランクA評価ランクB評価ランクC
等級3+15,000円+8,000円+0円
等級4+20,000円+10,000円+3,000円
等級5+25,000円+15,000円+5,000円

上司の評価は「ランク」を決めるだけで、
“いくら上がるか”はテーブルで自動的に算出されるのです。

建設業界では「職能給テーブル」、
WEB業界では「グレード制(スキルレベル制)」、
児童福祉では「職務手当・資格手当連動制」と呼ばれる仕組みが多く使われています。

💡つまり、あなたの給与は「評価の点数」ではなく「テーブル上の座標」で動いているのです。


給与テーブルを理解して年収を上げた社員の話

以前、WEB制作会社に勤める30代のディレクターが、
「もう3年も昇給がない」と私に相談に来ました。

話を聞くと、彼は“等級上限”に達しており、
次の昇給には「リーダー昇格」が必要な状態でした。

私はこう伝えました。

「評価を上げるより、“等級を上げる条件”を明確にしましょう」

彼はその後、後輩育成・採用面接への協力・PJの改善提案など、
“リーダーに求められる行動”を半年間で実践。
翌期に昇格が決まり、年収+80万円を実現しました。

給与テーブルは“上司との闘い”ではなく、“構造の理解”で攻略できます。


給与テーブルを味方につける3つの戦略

Step1. 「等級表」を手に入れる

まずは、自社の等級制度・評価基準表を確認しましょう。
社員ハンドブックや社内イントラネットに掲載されているケースもあります。

もし非公開なら、評価面談で自然に聞くのも有効です:

「次の等級に上がるために、具体的にどのスキルや成果が求められますか?」


Step2. 「評価と昇給の関係」を見える化する

昇給額と評価ランクの関係を自分なりに整理します。
例:

  • 評価A:平均+15,000円
  • 評価B:平均+7,000円
  • 評価C:据え置き

この関係を把握すると、「あと何をすればいくら上がるか」が見えてきます。
心理的にも“成果を金額に変える意識”が生まれます。


Step3. 年収交渉では「次の等級での貢献」を語る

転職や昇格交渉の際は、次のように話すと効果的です:

「現職では等級○に該当し、評価B〜Aを継続してきました。
御社での職責を考慮し、次のグレードに見合う年収○○万円を希望しております。」

これは“希望”ではなく“ロジカルな提案”です。
人事は数字と階層を軸に判断しているため、こうした根拠ある交渉が最も通りやすいのです。


まとめ:給与テーブルを理解した人だけが「設計された昇給」を得る

昇給は運でも努力でもなく、「制度の理解×戦略」で動かせます。

  • 給与テーブルを理解し
  • 自分の等級を把握し
  • 次のステップに必要な行動を明確にする

それができる人ほど、キャリアを“設計的に上げていく”ことができます。


明日からできる行動プラン

  1. 社内の等級・評価基準を確認する
  2. 自分の位置(等級・評価ランク)を整理する
  3. 次のランクに必要な行動を1つだけ実行する

「仕組みを知ること」こそ、キャリアの最初の交渉です。


結論

給与テーブルを理解することは、
“会社任せのキャリア”から“自分で動かすキャリア”に変わる第一歩です。

転職でも、社内昇進でも、
「制度を知り、根拠を持って伝える人」が年収を上げています。


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“評価される人”から“設計して上がる人”へ。

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