
- なぜ同じ経歴でも「選ばれる人」と「落とされる人」がいるのか
- 失敗する自己PRの共通点“努力アピール型”は伝わらない
- データで見る“中途採用に求められるスキル”の変化
- 成功例で学ぶ!採用された自己PR文(実例3つ)
- 元人事部長が教える:自己PRの“構成フォーマット”
- 3業界の人事が見る“即戦力”の違い
- 採用担当者の“読み方”を知ると通過率が上がる
- 面接での自己PR──「語り方」で差がつく3ポイント
- 自己PRを“即戦力型”に変える5つの質問
- 採用される人の共通点“自分を第三者視点で語れる”
- 明日からできる3つの自己PR改善アクション
- 自己PRを磨くと“市場価値”が上がる
- まとめ:中途採用で選ばれる人は“自己理解×再現性”で語る
- キャリア設計士からのメッセージ
なぜ同じ経歴でも「選ばれる人」と「落とされる人」がいるのか
「書類は出しているのに、全然通らない」
「面接では手応えがあったのに、不採用の通知が来た」
──中途採用の現場では、こうした声を毎日のように聞きます。
私はこれまで、WEB業界・児童福祉業界・建設業界の3業界で人事部長として約4,000人以上を採用面接してきました。
その中で痛感したのが、「経歴」よりも「伝え方」で評価が180度変わるという事実です。
同じスキル・同じ年齢でも、
- Aさん:「自分の強みを抽象的に語る人」
- Bさん:「企業にどう貢献できるかを具体的に語る人」
では、ほぼ確実にBさんが選ばれます。
つまり、自己PR=“自分を商品化するプレゼン”。
この章では、人事が実際に「この人を採りたい」と感じる自己PRの作り方を徹底的に解説します。
失敗する自己PRの共通点“努力アピール型”は伝わらない
①「頑張ります」だけでは評価されない
面接で最も多いのが、「どんな仕事にも前向きに取り組みます」というタイプ。
気持ちは伝わりますが、採用基準における即戦力の証明にはならないのです。
元建設業界の人事時代、40代転職希望者の応募書類で9割が「頑張ります」型。
でも“何をどう頑張るのか”が見えないため、書類段階で落とされていました。
② 抽象語ばかりで具体性がない
「リーダーシップがあります」「協調性があります」といった表現もNG。
それは“性格”であって、“成果”ではありません。
企業が知りたいのは、「その強みをどう発揮し、結果を出したのか」です。
③ 「即戦力」の誤解
「経験がある=即戦力」と考える人も多いですが、それは違います。
人事が求める即戦力とは、
- 環境に早く順応できる人
- 自ら課題を見つけ、改善できる人
- 他者と連携して成果を出せる人
この3点を兼ね備えた人を指します。
データで見る“中途採用に求められるスキル”の変化
リクルートワークス研究所の「中途採用白書2024」(https://www.works-i.com/)によると、
企業が中途採用で重視する要素は次の通りです。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 自律的に課題解決できる力 | 73% |
| チームコミュニケーション力 | 68% |
| 業務改善・提案力 | 55% |
| 専門スキル | 41% |
このデータが示すのは、
“技術力だけではなく、ビジネス行動力”が評価軸になっているということです。
つまり、自己PRでは「スキル+行動+成果」の3要素を一体化して伝える必要があります。
成功例で学ぶ!採用された自己PR文(実例3つ)
① 営業職 → WEB広告営業へ転職
【自己PR例】
前職では法人営業として年間100社以上の新規開拓を行い、売上前年比120%を達成しました。
特に「顧客課題のヒアリング」から「解決策の提案」までを自ら設計し、継続率を80%まで改善。
この経験をWEB広告業界でも活かし、クライアントの課題に最適な広告戦略を提案できる営業として貢献します。
💡ポイント:成果の数値化+業界転用を意識
② 保育士 → 人材コーディネーターへ転職
【自己PR例】
保育士として5年間、延べ150組以上の保護者対応を行ってきました。
相手の立場を尊重しながら要望を整理する力を活かし、信頼関係を築くスキルを磨きました。
この「傾聴力」と「課題把握力」を活かし、求職者と企業の橋渡し役として最適なマッチングを実現します。
💡ポイント:業務スキルを「ビジネススキル」に翻訳
③ 現場監督 → 建設コンサルタントへ転職
【自己PR例】
10年間で50件以上の現場を担当し、納期遅延ゼロを継続しました。
工期管理・安全管理に加え、チームメンバー10名の進捗調整も行い、組織的に成果を上げました。
このマネジメント力を活かし、コンサルタントとして施工全体を俯瞰できる立場で貢献したいと考えています。
💡ポイント:チーム成果に焦点を置くことで、管理力をアピール
元人事部長が教える:自己PRの“構成フォーマット”
自己PR文には、評価される「型」があります。
私はこれをSTAR+G法と呼んでいます。
| 構成 | 内容 | 例文要素 |
|---|---|---|
| S(Situation) | 状況 | どんな課題・背景があったか |
| T(Task) | 役割 | 自分の立場や担当範囲 |
| A(Action) | 行動 | 具体的に取った行動 |
| R(Result) | 結果 | 数値や評価の成果 |
| G(Growth) | 成長 | 学びや再現できる力 |
このGを加えることで、単なる「実績紹介」ではなく、
“今後どう活かせるか”が見えるPRになります。
3業界の人事が見る“即戦力”の違い
WEB業界の即戦力
- 新しいツールを自ら学ぶスピード
- 数値を根拠に改善提案できる力
→ 自己PRでは「データをもとに改善した経験」を書くと刺さる。
児童福祉業界の即戦力
- チーム間コミュニケーションと柔軟性
- 倫理観・誠実さ
→ 「人と向き合う力」「信頼関係構築力」を具体的に書く。
建設業界の即戦力
- 責任感・安全管理・現場判断力
- チームマネジメント
→ 「現場でのリーダー経験」や「トラブル解決力」を事例で示す。
💡業界ごとに求める“成果の定義”が違う。
だからこそ、自己PRは「相手業界仕様」にカスタマイズすることが必須です。
採用担当者の“読み方”を知ると通過率が上がる
人事担当者は、数十秒で書類をスクリーニングしています。
彼らの頭の中では、次のようなフィルターで読んでいます。
- 「結論」が最初にあるか(冒頭3行で印象が決まる)
- 「成果」が数値で表されているか
- 「再現性」があるか(次の職場でもできそうか)
- 「文章が読みやすいか」
たとえスキルが十分でも、文章構成がバラバラだと即スルーされます。
人事は常に「伝わる順番」で情報を整理しているからです。
面接での自己PR──「語り方」で差がつく3ポイント
① “結論から話す”を徹底
最初に「私の強みは〇〇です」と明確に言い切る。
曖昧な導入を避け、1文で印象を掴む。
② “事実→成果→学び”の順で話す
例:「前職でチームをまとめ〇〇を達成しました。その経験で〇〇を学びました。」
③ 感情ではなく“数字と行動”で語る
採用担当者は「再現性のある人」を評価します。
「頑張りました」より「残業時間を20%削減しました」の方が何倍も響きます。
自己PRを“即戦力型”に変える5つの質問
紙とペンを用意して、以下の質問に答えてみてください。
- 今までで一番成果を出した仕事は?
- その成果を出すために工夫した行動は?
- 周囲からどんな評価・フィードバックをもらった?
- その経験から学んだことは?
- 次の職場ではそれをどう活かせる?
この5問をつなげると、自然にSTAR+G型の自己PRが完成します。
例:「前職では〜」→「その結果〜」→「今後は〜で活かしたい」
採用される人の共通点“自分を第三者視点で語れる”
採用される人は、自分を客観視できています。
逆に落とされる人は、「自分の頑張り」に終始している。
人事は“その頑張りをどう再現できるか”を見ています。
そのためには、自分を他人目線で翻訳する力が必要です。
WEB業界であれば「成果を数値で」
児童福祉業界であれば「行動の背景を理念で」
建設業界であれば「現場判断を安全性で」
といった具合に、「相手の文脈で語る自己PR」が鍵です。
明日からできる3つの自己PR改善アクション
- 自己PRの冒頭3行を修正する
→ 「私は〇〇が強みです」「それを活かして〇〇を実現しました」と結論から入る。 - 数値を1つ入れる
→ どんな仕事でも「件数」「割合」「期間」を入れるだけで説得力が増す。 - 「今後の貢献」を最後に添える
→ 「この経験を活かして御社の〇〇に貢献します」で締める。
自己PRを磨くと“市場価値”が上がる
自己PRを「企業へのプレゼン」として設計できる人は、
転職市場での評価が確実に上がります。
- 年収交渉がしやすくなる
- 複数内定を獲得できる
- 面接が“対等な対話”になる
つまり、自己PRはキャリア資産そのもの。
一度構築すれば、今後の転職活動でも再利用できます。
まとめ:中途採用で選ばれる人は“自己理解×再現性”で語る
転職市場では、「何をしてきたか」より「何を再現できるか」が問われています。
その鍵を握るのが、自己PRの設計力。
転職は「勢い」ではなく「設計」。
そして設計には“自分を理解する時間”が必要。
キャリア設計士からのメッセージ
「キャリアアドバイザーの転職相談サービス」では、
自己分析・市場分析・求人戦略を一気通貫で支援。
“転職してよかった”と思える道を一緒に設計します。


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