
Q.「異職種転職」って、やっぱり難しい?
「未経験の職種に挑戦したいけど、本当に採用されるの?」
「今のスキルで通用するのか不安…」
──これは、多くの転職希望者が最初にぶつかる“壁”です。
私自身、WEB業界・児童福祉業界・建設業界で人事部長として採用実務を担当してきました。
その経験から断言できます。
「異職種転職は難しくない。ただし、“戦略なし”では成功しない。」
職種を変えるとは、“職務スキルの翻訳”です。
つまり、過去の経験をどう新しい職種に“再定義”できるかが勝負になります。
異職種転職を成功させた3人の実例
① 元営業職 → WEBマーケター(33歳)
Kさんは法人営業歴8年。
「デジタル領域でキャリアを広げたい」とWEBマーケ職に挑戦しました。
最初は「未経験では難しい」と不採用続きでしたが、
職務経歴書を“営業×分析”の視点で再構成したところ、3社から内定。
「提案営業=顧客課題分析」→「マーケティングリサーチ」へと置き換えたのが決め手。
② 元保育士 → 採用コーディネーター(28歳)
保育士として5年間勤務したSさん。
「もっと人のキャリアを支援したい」と異職種へ。
面接で「保護者との信頼構築」「チーム内調整」の実績を伝え、
人材紹介会社で内定を獲得。
福祉で培った“傾聴力”を「営業・採用現場でも活かせるスキル」と翻訳したことが成功要因。
③ 元現場監督 → 建設コンサルタント(41歳)
施工管理からデスクワーク中心のコンサルへ。
自分の現場経験を「リスク分析力」「プロジェクトマネジメント能力」として再整理し、
年収を維持したまま異職種転換に成功。
「現場で培った判断力をデータで活かす」──この“スキル転用の筋道”が説得力を生んだ。
異職種転職が難しいと言われる本当の理由
① 「経験がない=ゼロ」と勘違いしている
人事は“経験”を「業界」ではなく「能力」で見ています。
つまり、経験が“応用可能かどうか”を判断しているのです。
未経験職種でも、“本質が同じスキル”は数多く存在します。
② “自分の強み”を企業の言葉で語れない
たとえば「人と関わるのが得意です」という表現。
これは面接官にとっては抽象的すぎます。
→ 「保育士として100組の保護者対応を行い、クレームゼロを継続しました」と変換すれば、即戦力に見えます。
③ 「転職理由」が自己都合になっている
異職種転職では、志望動機の“企業視点”がより重要。
「自分がやりたいこと」ではなく、
「この職種で自分の経験がどう役立つか」を明確に話せる人が採用されます。
データで見る“異職種転職”の成功率
リクルートワークス研究所「転職実態調査2024」
(https://www.works-i.com/)によると:
| 転職タイプ | 成功率(=内定獲得率) |
|---|---|
| 同職種・同業種 | 61% |
| 同職種・異業種 | 48% |
| 異職種・異業種 | 34% |
つまり、「異職種転職」は確かに難易度は高いが、
3人に1人は成功しているという現実もあります。
成功者の特徴を分析すると、
「戦略的にスキルを転用し、学習意欲を証明できた人」が圧倒的に多い。
元人事部長が教える:異職種転職の成功ステップロードマップ
STEP1:スキルの“共通項”を洗い出す(棚卸し)
まず、現職のスキルを以下の3分類で棚卸しします。
| 分類 | 例 | 転用先の可能性 |
|---|---|---|
| 技術スキル | Excel・分析・設計 | IT、バックオフィス、企画職など |
| 人間スキル | 協調性・交渉力 | 営業・人事・福祉など |
| 思考スキル | 課題発見・改善力 | マーケティング・企画職など |
💡私が人事時代に見てきた成功者は、職種名ではなく「スキルの構造」で自分を分析していました。
STEP2:スキルを“企業の言葉”に翻訳する
異職種転職で一番重要なのが、“翻訳力”です。
例:スキル変換表
| 現職スキル | 異職種での表現例 |
|---|---|
| 顧客対応力 | カスタマーサクセス・CS対応力 |
| 現場管理 | プロジェクトマネジメント力 |
| 子ども支援 | コミュニケーション設計力 |
このように、「違う名前で呼ばれているだけ」のスキルを探すのがポイントです。
元保育士の方が「保護者対応=クライアントコミュニケーション」と言い換えただけで通過率が上がった事例もあります。
STEP3:学習と実践で“本気度”を示す
企業は「成長再現性」を見ています。
だからこそ、学習実績を具体的に示すことが重要です。
例:
- WEB職志望 → Googleアナリティクス講座を受講
- 人事志望 → 労務管理・心理学をオンラインで学習
- 建設系 → CAD・施工管理資格の勉強開始
人事は“受講中”でも評価します。
学びの行動=「環境適応力の証明」だからです。
STEP4:職務経歴書を“ストーリー型”に書く
異職種転職では、「経歴の一貫性」よりも「成長ストーリー」が重要。
構成例:
- 現職の実績(数字で)
- そこで得たスキル(具体化)
- 志望職種での活かし方(転用)
- 今後の成長意欲
この構成で書くと、「未経験でも再現性がある人」として見られます。
STEP5:面接では“学びの姿勢+再現力”を語る
面接でのキーワードは「即戦力」ではなく「適応力」。
面接回答例:
「これまでの経験で培った課題発見力を、御社のマーケティング領域でも活かせると考えています。
さらに、入社前から〇〇資格の勉強を進め、早期キャッチアップを目指しています。」
このように“現職→志望職”の接続線を語ることがポイント。
異職種転職でやってはいけない3つのNG行動
- 「未経験だから給料は下がってもいい」と言ってしまう
→ “価値を安売りする”印象を与える。 - 「何でもやります」と発言する
→ 軸がない人に見える。 - 「資格を取ってから転職したい」と行動を先延ばしにする
→ 実際に動きながら学ぶ方が早く成功します。
3業界の人事目線で見る──異職種転職のチャンス領域
| 業界 | 異職種転職に強い職種例 | 採用のポイント |
|---|---|---|
| WEB業界 | 営業→マーケ/事務→ディレクター | 学習意欲・分析力・柔軟性 |
| 児童福祉業界 | 一般職→支援員/営業→採用担当 | 共感力・人間理解力 |
| 建設業界 | 技術職→企画/現場→管理職 | 責任感・段取り力・安全意識 |
💡特に近年は「人材育成・DX・多職能化」が進み、“異職種ウェルカム”企業が増加中です。
データで見る“転職後の満足度”とキャリア成長
パーソル総合研究所「転職者意識調査2024」
(https://rc.persol-group.co.jp/)によると:
| 転職タイプ | 年収上昇率 | 満足度指数 |
|---|---|---|
| 同職種転職 | +8% | 78 |
| 異職種転職 | +5% | 84 |
収入は一時的に下がるケースもありますが、
満足度・成長実感は異職種転職組の方が高いという結果。
つまり、「キャリアの質」を重視する人ほど、異職種挑戦に価値があるのです。
行動できる!異職種転職成功の3つの実践ステップ
- スキル変換ワークを行う
→ 自分の業務を「誰に・何を・どう提供したか」で整理。 - 学習計画を30日スパンで立てる
→ 「基礎→応用→実践」でステップ設計。 - LinkedInやWantedlyで“職種理解”を深める
→ 実際にその職種の人に話を聞くと、言語感覚が身につく。
“完璧になってから”ではなく、“動きながら学ぶ”のが成功者の共通点です。
異職種転職は「経験の再構築」だ
異職種転職とは、「過去を捨てること」ではなく「過去を再定義すること」。
あなたの経験は“別の言葉”で語れば、新しい価値になる。
建設の段取り力は、ITではプロジェクト設計力。
保育のチーム運営は、企業ではマネジメント力。
営業の提案力は、企画では発想力。
職種が変わっても、あなたの仕事の本質は変わらない。
大切なのは、「どう見せるか」を設計することです。
“スキル転用”でキャリアの選択肢が増える
異職種転職に成功した人は、次のキャリアでも選択肢が広がります。
なぜなら、一度「スキルを転用する力」を身につけると、
どんな変化にも柔軟に対応できる“キャリア耐性”がつくからです。
元営業→人事→広報と3回キャリアチェンジした方は、
現在フリーランスとして複数企業の採用支援を担当。
「職種より“自分の軸”で動けるようになった」と語っていました。
まとめ:異職種転職は「勢い」ではなく「設計」
キャリアチェンジは勇気が必要ですが、
設計された行動なら、失敗の確率は大幅に下がります。
転職は「勢い」ではなく「設計」。
そして設計には“自分を理解する時間”が必要。
キャリア設計士からのメッセージ
「キャリアアドバイザーの転職相談サービス」では、
自己分析・市場分析・スキル転用設計を一気通貫で支援。
“異職種転職してよかった”と思える道を一緒に描きます。


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