同じ「未経験OK」でも、採用基準はまったく違う。
「未経験OK」と書かれていても、面接で落ちる。
「人柄重視」と言われても、なぜか評価されない。
──その理由は、業界ごとに“採用基準の軸”が違うからです。
私はこれまで、WEB業界・児童福祉業界・建設業界で人事部長を務め、
現場・経営・採用すべての立場から、数千人の応募者を見てきました。
その経験から断言できます。
未経験転職を成功させるには、「業界ごとの価値観」を理解することが不可欠です。
この記事では、3業界で実際に採用してきた立場から、
採用現場のリアルと、評価される人の共通点を徹底解説します。
未経験採用が増えている3業界の現状
厚生労働省の「令和6年版 労働経済白書」によると、
人手不足が深刻な業界として挙げられているのが
情報通信業(WEB関連)・福祉業・建設業の3分野です。
- WEB業界:DX需要により、2024年以降もIT人材不足が続く見込み
- 福祉業界:少子高齢化に伴い、介護・保育・支援職のニーズが拡大
- 建設業界:技能労働者の高齢化により、若手未経験者を積極採用
この3業界はいずれも“未経験採用”に積極的。
しかし、「採用されやすい人」のタイプはまったく違います。
3業界の求人傾向を比較
| 項目 | WEB業界 | 児童福祉業界 | 建設業界 |
|---|---|---|---|
| 平均年齢 | 32歳前後 | 38歳前後 | 42歳前後 |
| 平均年収(未経験採用) | 約350〜450万円 | 約300〜380万円 | 約380〜500万円 |
| 未経験採用率 | 約45% | 約60% | 約55% |
| 重視される力 | 学習意欲・論理性 | 共感力・継続力 | 体力・安全意識・チーム力 |
| 離職理由の上位 | スピード・成果プレッシャー | メンタル負荷 | 労働時間・現場環境 |
出典:リクルートワークス研究所「業界別採用動向2024」/doda「平均年収ランキング2024」
「未経験でも採用される人」と「落ちる人」の差
3業界すべてに共通しているのは、**“素直さと自走力”**を持っている人が採用されやすいという点です。
ただし、それを「どう表現するか」が業界によって異なります。
| 業界 | 採用担当が注目するポイント | 落ちる人の特徴 |
|---|---|---|
| WEB業界 | 論理的な説明・成長への行動 | 「学び待ち」「受け身」 |
| 児童福祉業界 | 感情の安定・チーム協調 | 理想が高く、現場対応が弱い |
| 建設業界 | 持続力・安全意識 | 「勢いで応募」「現場の現実を知らない」 |
業界別「未経験採用で評価される人」の特徴
WEB業界:“学び続けられる人”が最強
- 未経験でも、独学や資格(HTML/CSS・Webマーケなど)で基礎を習得している人は高評価。
- 採用面接では「どんな学び方をしているか」を具体的に語れると強い。
- SNSやポートフォリオ発信は「継続力の証明」になる。
元人事メモ:
「学習姿勢がある人=教育コストが低い」と企業は見ています。
教えてもらう前に“自分で学べる人”が採用されやすい。
●児童福祉業界:“支える覚悟”を持てる人が伸びる
- 資格や経験よりも「共感+安定感」を重視。
- 面接では「なぜこの仕事をしたいのか」より、「人を支えることで得た経験」を語ると響く。
- 感情に流されず、“冷静な優しさ”を見せる人は現場で信頼されやすい。
元人事メモ:
「子どもが好き」だけでは不十分。
チームと協働し、支援を継続できる人かを見ています。
建設業界:“現場を大切にできる誠実さ”が鍵
- 面接で「体を動かす仕事が好き」「安全第一で働ける」と話せる人は好印象。
- 未経験でも“先輩の指示を聞く姿勢”と“チーム志向”が評価される。
- 資格支援制度を活用し、職長や施工管理へキャリアアップする人も多い。
元人事メモ:
建設は“信頼で回る業界”。
「現場を軽視しない」「挨拶ができる」──この基本ができる人が長く働けます。
異業種から転職成功した3名のケース
| 氏名(仮) | 前職 → 転職先 | 成功要因 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Aさん(29歳) | 営業 → WEB制作会社 | 自学+発信で成長意欲を示した | 未経験から制作アシに採用 |
| Bさん(33歳) | 事務職 → 福祉支援員 | 傾聴力を“支援スキル”として転用 | 1年後に主任に昇格 |
| Cさん(36歳) | 工場勤務 → 建設現場監督補助 | チーム経験と体力を強調 | 国家資格取得し年収+80万円 |
3人とも「未経験」ながら、
自分の経験を“業界言語に翻訳”できたことが共通点です。
⑥業界ごとに違う「キャリアの伸ばし方」
| 業界 | 成長ルート | キャリアアップの方向性 |
|---|---|---|
| WEB業界 | 制作・マーケ → ディレクター | スキル主導型キャリア |
| 児童福祉業界 | 支援員 → 管理者・専門職 | 人間力主導型キャリア |
| 建設業界 | 現場補助 → 技能士・施工管理 | 経験主導型キャリア |
どの業界も、「最初の3年で何を学ぶか」が分岐点になります。
最初から完璧を目指すより、“学び続ける基礎体力”を身につけることが重要です。
「業界別・自己PR棚卸しワーク」
- 紙に行きたい業界をいくつか書く
- 自分の経験(接客・調整・分析など)をそれぞれに当てはめる
- どの業界にも共通して使える“基礎スキル”をマーカーで囲む
→ これが、あなたの「未経験でも通用する資産」です。
1日10分でOK。
自分の経験を“翻訳”すれば、どの業界にも道はあります。
まとめ
転職は「勢い」ではなく「設計」。
そして設計には、“業界構造と採用基準を知る時間”が必要です。
キャリアアドバイザーの転職相談サービスでは、
自己分析・市場分析・求人戦略を一気通貫で支援。
“転職してよかった”と思える道を、一緒に設計します。


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