履歴書・職務経歴書で落ちない人の特徴|レイアウトと文体の「小さな工夫」

履歴書・職務経歴書

「同じ内容なのに、なぜ自分だけ書類で落ちるのか?」

転職活動をしている人なら、一度は感じたことがあるはずです。

実はその差、内容よりも“見せ方”で生まれていることが多いのです。
人事が書類を見る時間は平均30秒〜1分。
(出典:リクルートワークス研究所「採用実態調査2024」

このわずかな時間で印象を決めるのが、レイアウトと文体の設計力
どんなに良い経歴でも、
・文字が詰まりすぎて読みにくい
・文体がバラバラ
・情報の順序がバラけている
──これだけで「伝わらない人」と判断されてしまいます。

私はこれまで、WEB業界・児童福祉業界・建設業界の元人事部長として
1万人以上の応募書類を見てきました。
現在は企業向け採用支援サービスを提供し、
「書類で通る人」「書類で落ちる人」の違いを現場で分析しています。

本記事では、
・書類通過率を上げるレイアウト設計
・人事が好む文体の特徴
・すぐに改善できるNG例と修正ポイント
を、人事目線で徹底解説します。


内容は悪くないのに「通らない人」の共通点

キャリアも実績もあるのに、なぜか書類で落ちる人がいます。
その多くに共通しているのが、“読み手の視点が抜けている”ということ。

たとえば──

  • 履歴書や職務経歴書に余白がない(ぎっしり詰め込む)
  • フォントや行間がバラバラ
  • 文体が「〜です/〜ます」と「〜した」混在
  • 情報が時系列で整理されていない

これらは内容以前の問題で、人事が読む前にストレスを感じる要素です。


良い経歴でも“読まれずに終わる”パターン

事例:WEB業界志望・30代男性のケース

Aさんは、大手制作会社で5年間ディレクターとして働いていました。
経験も豊富で、案件も有名ブランドばかり。
しかし書類通過率は10社中1社以下。

職務経歴書を確認すると──

「サイト制作の進行管理、クライアント折衝、品質管理などを担当。
多数のプロジェクトに関わりました。」

一見問題なさそうですが、実際には以下のNGがありました。

  • 改行が少なく、全体が文字の塊になっていた
  • 箇条書きの項目が揃っておらず、目線が迷う
  • 成果の具体性がないため印象が残らない

結果、人事は「読みにくい=整理力がない」と判断。
Aさんのスキルではなく、“見せ方”で損をしていました。


書類は「読む人の時間を奪わない設計」が命

採用担当は1日に何十枚もの応募書類を確認します。
その中で目を止めてもらうには、“視線の流れをデザインする”ことが重要です。

私が人事部長時代に部下へ必ず教えていたのが、

「読む側が1分で“この人は何ができるか”を掴める構成にする」

これができる書類は、経歴の良し悪しに関係なく通過します。


書類通過率を上げるレイアウト・文体の黄金ルール

【レイアウト編】──“見た目”で伝える3原則

1. 余白は「信頼感」のデザイン

余白があると、内容に自信と整理力を感じさせます。
目安は上下2cm・左右1.5cm以上。

人事視点:
余白が整っている書類は「計画性」「丁寧さ」が伝わる。
逆にギチギチのレイアウトは“詰め込み型=混乱型”と見なされがち。


2. 見出しは“太字・一貫性”で区切る

「職務要約」「業務内容」「成果」などの見出しを太字または下線で統一。
見出しの書体や記号がバラバラだと、視線が散ります。

例:
OK【職務要約】/【業務内容】/【成果・実績】
NG《職務要約》/●業務内容/成果実績


3. 箇条書きは3〜5行で“リズム”を作る

1項目に長文を書かない。
1項目=1要素(業務内容/成果/スキルなど)。
3〜5行で切ると読みやすく、情報が整理されて見えます。

実践例:

【業務内容】
・法人営業(新規開拓・既存顧客フォロー)
・年間売上目標120%達成(2023年度)
・3名チームのリーダーとして後輩指導を担当


【文体編】──“読まれる”文章にする5つのコツ

1. 「です/ます」で統一

文末が混在すると違和感を与えます。
職務経歴書はフォーマル文体(です/ます調)で統一が基本。

例:
OK「営業活動を通じて成果を上げてきました。」
NG「営業活動を通じて成果を上げた。お客様との信頼関係を重視しています。」


2. 主語と目的語を省略しない

「担当しました」だけでは伝わらない。
“何を・どうしたか・結果どうなったか”まで書く。

OK「新規顧客開拓を担当し、年間30社の契約を獲得」
NG「営業活動を担当しました」


3. 抽象語を避ける

「頑張った」「工夫した」「意識した」など主観表現は避ける。
代わりに数字や行動を入れる。

OK「提案資料の改善により、受注率を15%向上」
NG「提案を工夫して受注率が上がった」


4. 1文は40字以内を意識

長すぎる文は途中で情報が抜け落ちる。
1文1メッセージで区切ると読みやすい。


5. 結論を先に書く

「何をしたか」→「どうなったか」の順ではなく、
「成果」→「行動」の順に書くとインパクトが強まる。

「年間売上120%を達成。新規顧客のリピート施策を立案・実施。」


レイアウト改善だけで通過率が倍に

以前、建設業界志望の40代男性がいました。
最初は通過率10%未満。内容は悪くなかったのですが、
職務経歴書は文字が詰まり、改行が少なく、読みづらい状態。

レイアウトと文体を以下のように修正しました。

改善前改善後
文字が詰まっており、成果が埋もれているセクションごとに改行・太字で整理
抽象的な成果表現「安全管理指導で労災ゼロを3年間継続」など具体化
「しました」「してきました」が混在文体を「です/ます」に統一

結果、3週間後には書類通過率が約35%→68%に上昇
「見た目を整えるだけで評価が上がる」という事例です。


データで見る“読みやすさ”の効果

リクルートキャリアが2023年に実施した調査によると、
書類選考で「最も重要視される要素」は以下の通りです。
(出典:リクルートキャリア『採用トレンド2023』

項目採用担当が「重要」と回答した割合
経験・スキルの整合性78%
書類の構成・わかりやすさ64%
志望動機の明確さ57%
文体・言葉遣いの丁寧さ49%

つまり、「読みやすさ」は経験に次ぐ評価基準
内容と同じくらいレイアウトと文体が重要なのです。


行動プラン・セルフワーク

「5分でできる“書類見直しチェックリスト”」

・余白がある(上下2cm・左右1.5cm)
・フォントが統一されている(MS明朝 or 游ゴシック)
・箇条書きが3〜5項目で見やすい
・文体が「です/ます」で統一されている
・成果が数字や具体行動で書かれている
・改行・太字で区切りがある
・見出しが統一フォーマットで整っている

チェックが5つ以上つけば“読まれる書類”。
3つ以下なら再構成のチャンスです。

まずは「余白・フォント・文体」の3点を整えるだけで印象は変わります。


書類が変われば面接の質問が変わる

レイアウトと文体を整えると、面接官の質問も具体化します。

  • 「ここに書いてある成果について詳しく聞かせてください」
  • 「リーダー経験があるとありますが、どんな課題がありましたか?」

つまり、“見やすい書類”は“話したくなる書類”です。
人事にとって理解しやすい=興味を持たれる。
これが書類通過率を上げる本質です。


まとめ

書類選考は「中身」だけでなく「見せ方」で決まります。
採用担当はデザインの専門家ではありません。
だからこそ、“整っていて、読みやすい”だけで好印象。

覚えておいてほしいのは、

「レイアウトは信頼を生み、文体は人柄を映す」

転職は“勢い”ではなく“設計”。
そして設計には、自分をどう“見せるか”の戦略が必要です。


「キャリアアドバイザーの転職相談サービス」では、
履歴書・職務経歴書の構成から、文体添削・レイアウト改善までを一気通貫でサポート。
“書類で伝わる自分”を一緒に作りましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました