
「職務経歴書って、どこまで詳しく書けばいいの?」
転職活動中、最も多い質問のひとつです。
履歴書は“自己紹介”。
一方、職務経歴書は“営業資料”です。
つまり、「あなたという商品を企業にプレゼンするための企画書」。
でも実際は──
- テンプレートをコピペして中身が薄い
- 文字だらけで読みにくい
- 実績が数字で示されていない
こうした書類を、人事は3秒で“落とす候補”に入れます。
私はこれまでWEB業界・児童福祉業界・建設業界の元人事部長として、
延べ1万人以上の職務経歴書を見てきました。
現職でも企業向け採用支援サービスを行っており、
「通過する書類」「落ちる書類」の違いを毎日のように見ています。
本記事では、
職務経歴書の正しいフォーマット
実際に落ちるNG例
採用担当が“惹かれる”書き方のコツ
を、現場の人事視点で徹底解説します。
「フォーマットは自由でOK」という落とし穴
「職務経歴書のフォーマットは自由」というのは半分正解、半分間違い。
確かに決まった書式はありませんが、“読みやすい構成の型”は存在します。
自由だからこそ、企業によっては「読みにくい」「情報が整理されていない」
という理由で落とされてしまうことも多いのです。
🔹 よくある誤解例
- フォントや装飾を工夫すれば印象が良くなる
- 長く書けば“熱意”が伝わる
- 志望動機や自己PRも職務経歴書に入れたほうが良い
これらはすべて、現場では逆効果。
職務経歴書は「企業が欲しい情報を最短で伝える資料」であるべきです。
人事が職務経歴書で“見るのは3つだけ”
人事がチェックしているのは、次の3点です。
| 観点 | 内容 | 評価ポイント |
|---|---|---|
| ① 何をしてきたか | 業務内容・担当プロジェクト | 職種理解・スキルの広さ |
| ② どう成果を出したか | 実績・改善・工夫 | 成果の具体性・再現性 |
| ③ なぜ転職するのか | キャリアの流れ | 一貫性・目的意識 |
この3点が整理されていれば、フォーマットの細部よりも評価されます。
逆に、ここが曖昧だとどんなテンプレートを使っても落ちます。
現場で見た「NG職務経歴書」のリアル
【NG例①】情報が羅列されていて読みにくい
業務内容:営業職として顧客対応、販売促進、提案活動、資料作成などを担当。
これでは「何を」「どの規模で」「どう成果を出したか」が伝わりません。
人事は「この人がうちで何をできるか」が知りたいのです。
【NG例②】長文すぎて要点が見えない
新人のころから多くの案件を任され、仲間と協力しながら成果を出してきました。営業活動の中で顧客との信頼関係を築き、チームワークを大切にし、会社に貢献できたと思います。
こうした「熱意作文型」はNG。
文章量ではなく、情報の整理力が見られます。
【NG例③】成果が“主観表現”になっている
顧客満足度を高めることができました。
多くのお客様から感謝の言葉をいただきました。
これらは定量的な成果がわからず、評価しにくい。
たとえば「顧客リピート率を20%改善」などの数字表現が効果的です。
人事が読みやすい“正解フォーマット”
職務経歴書の基本構成(正解フォーマット)
【1】職務要約(3〜5行で全体を要約)
例)
法人営業を中心に5年間で約200社を担当。
新規開拓・既存顧客のリピート強化を担当し、年間売上120%を達成。
現在はチームリーダーとして3名のマネジメントを経験。
ポイント:
最初の3行で“キャリアの全体像”を把握できるようにする。
面接官はここで「読む価値があるか」を判断します。
【2】職務経歴(会社ごとに分けて書く)
【会社名】株式会社○○○○(在籍期間:2019年4月〜現在)
【雇用形態】正社員
【事業内容】法人向けWEBソリューション提供
【職務内容】
・新規法人営業(年間30社開拓)
・既存顧客フォロー、リピート率向上施策
・チームリーダーとして3名を育成
【実績】
・年間売上目標120%達成(2022年度)
・大型案件3件(契約額計2,000万円)を受注
・顧客満足度アンケートで社内トップ評価獲得
ポイント:
数字・規模・具体的な成果を入れる。
「何を・どのように・どう成果を出したか」をセットで書く。
【3】活かせるスキル・経験
・法人営業スキル(顧客開拓・提案・交渉)
・マネジメント経験(3名チーム)
・データ分析/提案資料作成(Excel・PowerPoint)
💡ポイント:
「この人を採用したら何ができるか」を一目で伝える。
スキルを箇条書きにして視覚的に整理。
【4】自己PR(3〜5行)
例)
目標達成だけでなく、チーム全体の成果を意識した行動を重視しています。
顧客視点で課題を把握し、最適な提案を行う姿勢を評価いただき、
チームの売上向上にも貢献してきました。
💡ポイント:
“成果”+“姿勢”の両方を短くまとめる。
過剰な自己アピールは不要です。
フォーマット全体イメージ(構成図)
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【職務要約】
(3〜5行)
【職務経歴】
①会社名・在籍期間・職務内容・実績
②同上(過去の勤務先)
③同上(あれば)
【活かせるスキル】
・箇条書き3〜5項目
【自己PR】
(3〜5行)
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NGフォーマット例(悪い例)
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【職務経歴書】
株式会社〇〇〇〇 営業職
・顧客対応
・提案営業
・販売促進
・チームワークを大切にした仕事をしてきました。
自己PR:
どんな仕事にも一生懸命取り組み、努力を惜しみません。
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NG理由
- 構成が整理されていない
- 実績がない(何をどれだけやったか不明)
- 自己PRが抽象的で印象に残らない
人事は“努力”よりも“成果と再現性”を重視します。
各業界別に見る「書き方のコツ」
私はこれまでWEB・児童福祉・建設の3業界で採用を担当してきました。
同じフォーマットでも、業界ごとに評価ポイントが違います。
| 業界 | 求められる書き方・表現のポイント |
|---|---|
| WEB業界 | 数字と成果をセットで明記(PV/CVR/売上など) |
| 児童福祉業界 | 信頼・継続性・協調性を重視。チーム連携・保護者対応など具体化 |
| 建設業界 | 資格・安全管理・現場調整力を強調。案件規模や役割を書く |
行動プラン・セルフワーク
「明日からできる職務経歴書ブラッシュアップ3ステップ」
Step1:情報を“削る勇気”を持つ
- すべてを書くより、“採用したいと思わせる部分”だけに絞る
- 「強み」と「成果」を中心に3割削るつもりで再構成
Step2:数字で語る
- 「〜を頑張りました」よりも「売上◯%UP」「工期◯日短縮」など
- 人事は数字で説得される
Step3:第三者に見てもらう
- 友人やキャリアアドバイザーに「3分以内で理解できるか」聞く
- 理解されなければ、構成を見直すサイン
まずは1つずつ改善すればOK。
書類は“完璧”より“伝わる”ことが大事です。
まとめ
職務経歴書は「過去の説明書」ではなく、「未来への提案書」です。
企業が見たいのは、“あなたが入社後にどう活躍できるか”。
そのためには、
- 構成を整える(見やすさ)
- 成果を数値化する(説得力)
- 志向を明確にする(一貫性)
この3つを押さえるだけで、通過率は確実に上がります。
「キャリアアドバイザーの転職相談サービス」では、
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