採用担当の心を動かす共感型自己PR|元人事部長が教えるアピール術

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「頑張って自己PRを話しても、なぜか手応えがない…」

──それは“共感”が欠けているからかもしれません。

面接では、自分の強みや成果をしっかり話しているのに、
面接官の反応が薄い。うなずいてくれない。笑顔も少ない。
そんな経験はありませんか?

それは、“伝える”ことに集中しすぎて、
“相手に伝わる”構成になっていないからです。

私はこれまで、WEB業界・児童福祉業界・建設業界の元人事部長として、
延べ1万人以上の面接に立ち会ってきました。
その中で、面接官の心を動かす自己PRは、
スキルの高さよりも、「人柄と考え方に共感できる」ものでした。

面接は「勝負」ではなく「共感をつくる場」。

この記事では、採用心理の仕組みから、
人事が“惹かれる共感型自己PR”の作り方を解説します。
具体的な構成テンプレート・例文・面接時の話し方まで網羅しています。


「自己PR=自分をアピールする場」

多くの人が、面接の自己PRを「いかに自分を売り込むか」と考えています。
だから、「成果」「スキル」「努力」を前面に出して話してしまう。

しかし、面接官は“優秀な人”を探しているのではなく、“一緒に働ける人”を探しているのです。
人事は「強い人」よりも「信頼できる人」に惹かれます。

つまり──
アピールではなく“共感”を生むことが合格のカギ。


面接官が惹かれるのは「価値観」と「ストーリー」

採用心理の研究(リクルートワークス研究所『採用行動調査2024』)によると、
採用担当者が面接で最も重視するのは以下の項目です。

項目重視割合
1位:人柄・価値観の共感52.8%
2位:職務スキル・経験27.1%
3位:将来性・成長意欲18.6%

(出典:リクルートワークス研究所 採用行動調査2024

つまり、人事の半数以上が「共感できるかどうか」で判断している。
共感される自己PRとは、単なる「事実の羅列」ではなく、
「その人がどんな考えで行動しているか」が伝わる自己PRなのです。


共感型自己PRで印象が変わったCさんの例

販売職から法人営業に転職したCさん(20代後半)。
初めの自己PRはこうでした。

「販売職として、売上目標を常に達成してきました。
今後は営業職でも結果を出していきたいと思っています。」

悪くない。しかし、人事の心には響かない。
数字は立派でも、“その人らしさ”が見えないのです。

Cさんと一緒に「共感型PR」に書き直したところ、
こうなりました。

「販売職として、お客様が“ありがとう”と言ってくれる瞬間が一番のやりがいでした。
売上以上に、人との信頼関係づくりを大切にしてきた結果、
指名率を前年比140%に伸ばすことができました。
今後は、その信頼構築力を営業職でも発揮し、長期的な取引関係を築いていきたいです。」

同じ成果でも、「数字+価値観+行動」が伝わると人事の心に残る
実際、Cさんは面接官全員から「人として信頼できる」と高評価を得ました。


共感型自己PRを作る5つのステップ


🪜ステップ①:「成果」ではなく「動機」から話す

共感の第一歩は、「なぜそう思ったのか」を語ること。
自己PRの冒頭で、“価値観”を伝えるだけで印象が変わります。

NG例:

「課題解決力が強みです。」

改善例:

「困っている人を見ると、放っておけない性格です。その結果、課題解決に取り組むことが多く、結果的に改善提案が得意になりました。」

人事は、「強み」よりも「強みの根っこ」に共感します。


ステップ②:ストーリー構成で語る

自己PRを“物語”として組み立てると、共感が生まれやすくなります。

構成内容書き方のヒント
① 価値観自分が大切にしている考え方「~を大切にしてきました」
② 行動具体的な行動・取り組み「そのために~をしました」
③ 結果成果・学び「結果として~を得ました」
④ 未来どう活かすか「今後はこの経験を~に活かしたい」

フォーマット例:

私が大切にしているのは〇〇です。
その考えのもと、〇〇の経験で△△に取り組みました。
結果として□□という成果を得ました。
今後は、この考えをもとに貴社で〇〇に貢献したいと考えています。


ステップ③:相手(企業)への共感を盛り込む

共感型自己PRは、「自分への共感」だけではなく、
「企業の理念・方針への共感」も含めるとより強力になります。

例:

貴社の「地域に寄り添うサービスを通じて社会を支える」という理念に共感しました。
私自身も人との信頼関係を大切にしてきた経験から、理念に深く共感し応募しました。

面接官が「うちの文化に合いそう」と感じる瞬間です。


ステップ④:共感を“言葉”で見せる

人事が「この人、わかってるな」と思う自己PRは、次のような言葉を自然に使っています。

共感ワード効果
「~を大切にしています」価値観の共有を生む
「~の姿勢を学びました」謙虚さを表す
「~の気持ちを理解できるよう努めました」共感力を伝える
「~と一緒に課題を解決しました」チーム意識を示す

言葉遣い1つで“印象の温度”が変わります。


ステップ⑤:数字と感情をセットで伝える

共感PRは“感情”だけでは弱い。“数字”だけでも冷たい。
両方を組み合わせることで、ストーリーに深みが出ます。

例:

「お客様満足度調査で前年比120%の改善を達成。
その背景には、“どうすればお客様が安心できるか”を考え続けた日々がありました。」

数字は“信頼性”を、感情は“共感”を生む。
両方を持つ人は、どの業界でも強いです。


実例で見る「共感型自己PR」5選(業界別)


例①:WEB業界(ディレクター)

私は「相手の立場で考えること」を大切にしています。
前職でWEBディレクターとして、クライアントの要望を叶えるだけでなく、
“なぜそうしたいのか”を丁寧にヒアリングするようにしていました。
その結果、提案の採用率が前年度比130%に向上。
今後も、相手の本音を汲み取る姿勢で価値ある提案を行っていきたいです。


例②:児童福祉業界(児童指導員)

子どもや保護者の“想いを理解すること”を大切にしてきました。
発達支援施設で3年間、同じ児童を担当し、
家庭・学校との連携を続けながら支援計画を改善。
登園率を60%→90%に改善できたのは、
「一緒に考える姿勢」が信頼に繋がった結果だと感じています。


例③:建設業界(現場管理)

私は「一緒に働く人を尊重する」姿勢を大切にしています。
建設現場では、立場の違う職人や協力会社との調整が欠かせません。
意見がぶつかった時こそ、相手の立場を理解し、冷静に話し合うことを意識しました。
その結果、3年間納期遅延ゼロを継続できました。


例④:営業職

お客様に“安心して任せていただくこと”を最優先にしています。
契約件数だけを追うのではなく、
アフターフォローを徹底し、再契約率を60%→85%に改善しました。
「あなたに頼んでよかった」と言っていただけることが最大のモチベーションです。


例⑤:事務職

私は「縁の下で支える」ことにやりがいを感じています。
前職では資料作成や調整業務を通じて、チーム全体の業務をサポート。
進行管理の仕組みを整えたことで、ミス件数を月20件→5件に削減しました。
今後も、周囲の働きやすさを支える存在として貢献していきたいです。


なぜ“共感型PR”が強いのか?

心理学では、「共感=信頼の起点」とされています。
アメリカの心理学者ロジャースは、人が他者を信頼する条件として
“共感的理解”を最も重要視しました。

面接官も同じ。
共感できる応募者は、「一緒に働きたい」と思われる。

反対に、スキルが高くても「自分本位な印象」の人は、採用に至らないケースが多い。
3業界の現場でも、共感力の高い人ほど、チームでの信頼形成が早く、定着率も高い傾向がありました。


行動プラン・セルフワーク

「5分でできる“共感型PRワーク”」

・「自分が仕事で大切にしている考え方」を3つ書き出す
・その考え方を表す“具体的なエピソード”を1つ選ぶ
・エピソードの中で「相手の気持ちを考えた行動」を探す
・それを文章化して「価値観→行動→結果→未来」でまとめる
・最後に「この考え方を活かして、御社で~したい」と締める

ポイント:
「強み」ではなく「考え方」を軸に書くと、人柄が伝わる自己PRになります。


まとめ

面接官が惹かれるのは、完璧な実績ではなく、“誠実に考え、行動する人”です。
共感型自己PRは、あなたの人間性を自然に伝える最強の方法。

押さえるべきは3つ。
・自分の価値観を明確にする
・行動エピソードで裏付ける
・企業の理念・人の想いに共鳴する

転職は「勢い」ではなく「設計」。
そして、設計には“相手の共感を得る視点”が欠かせません。


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