
「もう遅い」ではなく「今だからこそ」
50代になると、こうした声をよく耳にします。
「定年まであと10年。もう新しいことは無理かな」
「この先、収入が減るのが不安です」
しかし、私はWEB・児童福祉・建設の3業界で人事部長を務め、
今も企業向け採用支援を行っていますが、実は近年、50代の採用は確実に増加傾向にあります。
なぜなら──企業が求めているのは「経験値を活かせる実務力」だから。
この記事では、50代が“年収も満足度も上がる働き方”を実現するためのキャリア設計法を、現場と経営の両視点から解説します。
50代の転職市場は“再び熱を帯びている”
リクルートワークス研究所によると、
50代以上の転職成功者は10年前の約2倍。
背景には、
- 定年延長・再雇用制度の拡充
- DX化による経験人材の再評価
- 働き方改革による柔軟な雇用形態の普及
などがあります。
特にWEBや建設業界では、マネジメント経験や交渉力を持つ50代が再評価されています。
年収は“専門性×柔軟性”で決まる時代
求人ボックス調査によると、50代の平均年収は約550万円。
しかし実態は、次のように二極化しています。
| タイプ | 年収レンジ | 特徴 |
|---|---|---|
| 成長型 | 600〜800万円 | 専門職・独立・顧問契約 |
| 停滞型 | 400万円前後 | 受け身・スキル更新なし |
つまり、「今までの経験をどう再構築するか」で50代の年収差が生まれるのです。
「積み上げてきた経験を、どう活かすか?」
50代のキャリア相談で最も多いのは、次の3つの悩みです。
- 体力的に今の働き方が続けられない
- 年収ダウンを避けたいが、転職が怖い
- 自分の経験が“時代に合わない気がする”
これはどの業界にも共通する課題です。
WEBではスピードの壁、福祉では制度の変化、建設では技術更新の波。
過去の成功体験に縛られず、“経験の棚卸し”を行うことが再スタートの第一歩です。
50代からのキャリア設計5ステップ
【STEP1】自己分析 ─ 「これまで」と「これから」を分けて考える
50代の自己分析は、“過去の自分”と“これからの自分”を分けて整理することが大切です。
紙に2列書いてみましょう。
- 【過去】得意・経験・人脈
- 【未来】興味・理想の働き方・家族との時間
💬 元人事部長の視点:
企業は「何ができるか」より「これからどう関わってくれるか」を見ています。
【STEP2】キャリアの棚卸し ─ 実績を“言葉と数字”で見える化
「リーダーをしていた」ではなく、
- 何人のチームを率いたか
- どんな成果を上げたか
- どの課題を改善したか
を具体的に書き出します。
建設業界なら「工期短縮率」、WEBなら「案件成約率」、福祉なら「利用者満足度」──
経験を定量化できる人は、どの業界でも即戦力です。
【STEP3】働き方改革を味方にする ─ “時間でなく成果で働く”時代へ
50代は、若手よりも「働き方改革」を活かしやすい層です。
なぜなら、マネジメント経験を活かした在宅型・顧問型・副業型の仕事が増えているからです。
例:
- 建設業界:安全管理のオンライン支援
- 福祉業界:新人教育・研修設計
- WEB業界:プロジェクト顧問・品質監修
「現場を離れても価値を出せる働き方」が選べる時代です。
【STEP4】年収アップのカギは「掛け算キャリア」
年収を上げる50代は、“経験+新スキル”で自分を再定義しています。
例:
- 建設 × DXスキル → 現場デジタル管理コンサル
- 福祉 × SNS発信力 → 施設ブランディング担当
- WEB × 教育スキル → 社内育成講師
💬 採用現場では、「経験×時代スキル」の人が引く手あまたです。
【STEP5】キャリアプランを描く ─ 定年後10年をどう生きたいか
キャリア設計のゴールは“働き続けること”ではなく、**“納得して生きること”**です。
たとえば次の問いを自分にしてみましょう。
・60代でどんな生活を送りたい?
・働く目的は「収入」か「貢献」か?
・どんな人と仕事をしたい?
キャリアは“引退”ではなく“転換”。
50代で考えるキャリアプランが、人生の後半を豊かにします。
キャリア設計で「自分の人生を選べる50代」へ
キャリアを設計した50代は、次のような変化を実感しています。
- 年収アップ(+50〜100万円)
- 仕事のストレス減少(選択権の回復)
- 人生満足度の上昇(働き方の自由)
企業目線でも、「経験×安定感×柔軟性」を持つ50代は“現場の要”です。
“守る50代”から、“創る50代”へ──これが新時代のキャリア像です。
明日からできる3つのキャリア行動
① 自分のキャリア年表を作る
→ 10年単位で「何を学び、何を成し遂げたか」を整理。
② “自分の強み”を一言で言う
→ 「人を育てる」「仕組みを作る」など、短く言語化しておく。
③ “これから5年で叶えたいこと”を1つ書く
→ 転職・独立・リスキル──行動は小さくても構いません。
まとめ:50代こそ「キャリアの完成期」
50代は“終わり”ではなく、“完成と再出発”の年代。
これまでの経験をどう活かすかで、人生の質は大きく変わります。
私は3業界で人事部長を務め、今は企業向け採用支援とキャリア設計支援を行っています。
あなたの経験には、必ず価値があります。
あとはそれを“次の形”に設計するだけです。


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